私は帰国子女だとはいえ、ほとんど日本人がいる環境にしかいませんでした。
だから日本語にはさほど苦労していません。
さほど、ね。
ただ、ちょっとした表現や語尾、比喩的表現が分からなくて、自分なりに解釈してしまって人を困惑させることがしばしば。
今も時々あります。
恐らく海外育ちは関係ないとは思うのですが、今回は解説という名の壮大な言い訳をしながら、私が分からなかった日本語を語源と一緒にご紹介します。
有名な歌の歌詞の意味が分からない!
言語を勉強するとき、私がよくやるのは同じ歌を何回も聴くことです。
1回目に何も見ずに聴き、2回目に歌詞カードを見ながら聴くというやり方。
小学3年生のときにアメリカに渡りましたが、言語を勉強するためというよりは、無意識に好きな曲をそういうやり方で聴いていました。
日本語も英語もこれで身につけたと言っても過言ではない、いや過言やわ。
「この単語はこう発音しているのか!」
「この文法この前習ったな」
「このフレーズはこういう使い方をするんだ!」
という発見ができてオススメです。
実用的かどうかはさておき。
前置きはここまで。
小学6年生のとき、当時はまだアメリカにいましたが、車の中流れていた「サザンオールスターズ」の曲が大好きでした。
ある日、名曲「真夏の果実」を聴きながら歌詞カードを見ていると、サビ冒頭に知らない日本語が出てきたんです。
ねぇ、ママ
この歌変な歌だね
なんで?
だって、4時から6時の間に「好き」って言うんでしょ?
へっ⁉
四六時中も好きと言って
真夏の果実 / サザンオールスターズ
私はこれを漢字の見た目だけで意味を判断してしまったんです。
「六時」って書いてるから時間のことを表すのか。
「中」は「その間」って意味だから、「4と6の間」ってことだ。
つまり「四六時中」は、「4時から6時の間」ということか!
……なんで「好き」って言われるのに時間が存在するんだろう?
という解釈から「変な歌」だと思ってしまいました。
母からは、「四六時中」は「Always」って意味だと言われてようやく歌詞の意味を理解しました。
では、四六時中はなぜこのように表記するのでしょうか。
四六時中は、元々「二六時中」と言われていた。
https://gogen-yurai.jp/shirokujityuu/
二六時中は、一日の時間を「子の刻」「丑の刻」など、干支の十二刻で表していた江戸時代の使われ方である。
2×6で12となるため、一日中を意味していた。
四六時中は、その「二六時中」を現代の一日の時間(24時間)に合わせ、4×6の24時間としたものである。
元々の言葉が江戸時代にあって、掛け算を使った言葉だというのには驚きました。
確かに、ひらがなで書くと「しろく」と書くので、小学2年生で習った九九の言い方になるんですね。
私はここに気付けなかった!!
サザンオールスターズの皆さま、大変失礼いたしました。
お嬢様言葉が分からない!
同じく小学6年生のとき、「あしながおじさん」という本を読んでいて出てきたセリフの語尾が理解できませんでした。
それは「~しませんこと?」などの、語尾につく「こと」
私は英語の文法用語でよく聞く「動名詞」の「こと」しか知りませんでした。
例えば、I like to play the piano. 私はピアノを弾くことが好きです。の「こと」
まさか語尾に付くとは思っていなくて、「~しませんこと」が何?どうしたの?と思ってしまったのです。
完全にここで止まってしまい、それ以降のストーリーが全く頭に入らなくなりました。
「その『こと』には意味はないよ」と教えてもらうことでようやく読めるようになったという。
例えば、「まぁ、煌びやかなこと」「お願いできますこと?」という使い方をします。「~こと」は相手や物などに感心して褒める時や、疑問を投げかける際に用いるお嬢様言葉です。
https://cktt.jp/119293
日常的にあまり使わないからなのか、お嬢様が使う言葉表現というのをあまり知らなくて、未だにそういうキャラクターの人物像を把握するのに時間がかかることがあります。
使っている人見たことないし。
辞書にはあまりこのような書かれ方がされないので、ネット上に易しい言葉で書かれてあるというのは非常にありがたいですね。
言われた悪口が分からない!
私は小学3年生のころからアメリカで日本人小学校に通っていました。
学校は1学年1クラスで、クラス替えとかはなく学年が上がっても転校しない限りはずっとメンバーは同じでした。
実はその学校に転校してから6年生で卒業するまで、ある男の子からちょっとしたいじめを受けていたのですが、その子に言われた悪口が全く理解できなかったんです。
小学3年生のころ、クラスの男子が教室の後ろの方で固まってしゃべっていました。
千夜雛ちゃんってウザいよね
私本人が聞こえる範囲内で、その男の子を筆頭に男子全員でコソコソと話していたんです。
おーい、聞こえてますよー。
私は「あー、なんか悪口言われたなー」程度にしか思っていなかったので無視しました。
クラスメイトや先生、親に言うほどのことでもないか、とも思っていたのですが、誰にも言わなかったのには理由があります。
だって「ウザい」の意味が分からなかったから!
誰かに聞けばクラスで大問題になってしまうと考えたのです。
なので、私が知らないような難しい言葉で罵ることができるというのは、頭がいいからできることなのか!と勝手に解釈して過ごしていました。
小学5年生になってようやく、思春期にも入ってきたしそろそろそういう言葉を知ってもいいころだろうと思い、その男の子に言われたという事実を伝えずに単語の意味だけを思い切って親に聞きました。
なんや、意味知らなくても別に損をするような単語でもないやん。
こういう単語を知っているからと言って頭の良さは関係ないんだなと胸をなでおろしたと言いますか。
では、「ウザい」とはそもそもどういう言葉でしょうか。
うざいは、1980年代頃から使われ始めた言葉で、「うざったい」の略。
https://gogen-yurai.jp/uzai/
うざったいは、俗に「鬱陶しい」を表した語で、元は東京多摩地区の方言であったものが、東京の若者の間で広く使われるようになり、全国に広まったといわれる。
うざったいの語源は、江戸時代に多く使われていた「うざうざ」という擬態語を形容詞化したものと考えられる。
うざうざは、「うじゃうじゃ」や「うじょうじょ」と同じく、似た種類の物がたくさん集まっている様子や、つまらないことをくどくど言うことを意味する。
若者言葉というイメージが強い「ウザい」は、何かの略語だろうというのは大体想像していました。
意外と江戸時代の言葉が変化したものなんですね。
私は言うて関西出身なので東京の方言は知らん。ということにしておきましょう。
嘘です。全国に広まってますね。
「うざうざ」が江戸時代に流行った言葉ということは、きっと若者を中心に広まったんだろうなと個人的には思っています。
当時の人じゃないので分かりませんが、おじいちゃんおばあちゃんの世代が急に言い出すとは到底思えませんし、その若者言葉がどんどん進化して「ウザい」という形になったのではないか。
そんな風に想像できてしまいますね。
悪口ダメ、ゼッタイ。
友達が言った言葉が分からない!
中学3年生のとき、このころはすでに日本での生活に少々慣れてきたころでした。
学校からの帰宅途中、バスに乗っていたときに起きた出来事。
真冬だったので、早い段階で日が暮れてしまい、帰るころには真っ暗でした。
しばらくバスに乗っていると、友達がしきりに窓の外を見ていたんです。
あ、ネズミ捕りだ
真っ暗であまり見えなかったのですが、住宅街の路肩にパトカーが1台停まっていました。
へぇ、日本では家にネズミが出たら110番通報するのか
ちゃうわ!!(大笑い)
実はパトカーの前に乗用車が停まっているのが見えていなかったんです。
日本には、ネコがネズミを追いかける某アニメに出てくるようなチーズでおびき寄せて捕まえるタイプのネズミ捕り(写真のようなタイプ)が、動物愛護法に引っ掛かっちゃうから一般的に売ってなくて、駆除業者っていうのもあんまりいないから、ネズミの駆除はお巡りさんの仕事になるのか!
……っていう勘違い。
パトカーが停まっていたのが奇跡的に住宅街だったことから起きた勘違いですね。
「ネズミ捕り」の語源とは。
「ねずみ捕り」は、今でこそ広く普及し、一般にも意味が認知されていますが、元来は警察が違反者を捕まえるために、隠れて待ち構えていることをいいました。
多くの方はもうご存じないと思いますが、その昔、一般の家にねずみがいたころ、ねずみを駆除する方法のひとつとして捕鼠器というワナが用いられていました。
このワナは、ねずみの通り道と思われる場所に設置して、ねずみが掛かるのを待ちます。警察が違反者を待ち構える姿と形態が似ていることから、ねずみ捕りと呼ばれるようになったようです。
公式な用語ではないため、違反者を「ねずみ」に例えている理由は定かではなく、スピード違反車はねずみのようにすばしっこい、ねずみのように決まったコースを通るなど、もっともらしい諸説が多々流布しています。
https://car-me.jp/articles/8715
なんだ、ネズミ捕りって日本にもあるじゃん。
恐らく日本のネズミ捕りは塊チーズなんて使わないし、形も「器」と書いてあるので入れ物だと思います。
少なくともバチン!というタイプではないでしょうね。
それはさておき。
スピード違反を取り締まる警察官のことをネズミ捕りということは分かったものの、そのネズミが何を指す言葉なのかが定かではないということには驚きました。
最初にこの例えを持ち出した人がどういう意図でネズミ捕りと呼んだのか気になりますね。
日本語ってどこで区切っていいか分からない!
日本語って、どこで区切っていいか分からない言葉多くないですか?
私がつい最近まで分からなかったのは「神のみぞ知る」という言葉。
「神様にしか分からないこと」を表す言葉だというのは分かっていました。
奇跡的に意味が合ってるという。
問題はここから。
これの区切り方が分からなくて、「神の / みぞしる」だとずーっと思っていたんです。
意味が「神様にしか分からないこと」だから、「みぞしる」という人間には分からない得体の知れないものを神様が持っている。
イントネーションも「味噌汁」と同じで似てるけど、人間には分からない物の名前だとばかり思っていました。
「みぞしる」って何やねん。
正しくは「神のみ( / )ぞ / 知る」なんですね。
古典で習った「ぞ・や・か・なむ」の「ぞ」はここで出てくるのか!!
ではなぜこういうことが起きるのでしょうか。
英語やヨーロッパの言語などは、単語と単語の間に必ずスペースがあるんですよ。
なのでそういうことが起きない。
一方日本語はというと、句読点まで止まることなく単語が全部一直線で並ぶじゃないですか。
例えば「ここではきものをぬげ」と書かれた看板があって、
「ここで / 履き物を脱げ」という意味と、
「ここでは / 着物を脱げ」という意味に捉えられます。
靴だけを脱ぐ人と、全裸になっちゃう人がいますよと。
絶対何人かいるでしょ、全裸を選ぶ人。
つまり、日本語は区切る場所が違うだけで意味が変わってしまうという恐ろしい言語なんですよ。
こんな難しい言語をいとも簡単に操れる日本人って、ものすごく賢い人種だと思います。
そう考えると、区切る場所が違うのに奇跡的に「神のみぞ知る」の意味が合っているのはすごくないですか。(自慢)
まとめ
いかがでしたか?
私のスーパー言い訳タイムは楽しめましたでしょうか。
ただただ私がアホというのがバレただけのブログですね、すみません。
それにしても日本語って難しいですよね。
今回改めて語源を調べてみたのですが、辞書で単語の意味だけを調べるよりも、語源も一緒に知ることでより一層理解が深まるということが分かりました。
特に「四六時中」が掛け算からきている言葉というのには1番衝撃を受けました。
当時の私に教えてあげたいなぁ。
みなさんも、勘違いして恥ずかしかった日本語がありましたらぜひコメント欄で教えてください。
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